私が体験したクレームの中でも、一番印象に残るクレームでした。そして、すごく勉強になりました。
とっくりからゴキブリが!のクレーム内容
私が店長になって、1年位の時です。
2店舗目に移動して、一か月たつかたたないかの日でした。
その店舗は、400席近い大型店でしたので物の管理が大変でした。
すべての席に商品を提供するにはあまりにも広すぎた為、
色々な準備やオペレーションが組まれていました。
ある週末のピーク時、20時ころです。
スタッフから、「店長、お客様がお呼びです。」と言われたので、
席に向かいました。
すると、お客さんはかなり激高しており、
「とりあえずこれ見て」と一言。
テーブルを見ると、おちょこの中に
「結構立派なゴキブリが!!」。
「日本酒飲もうと思って、注いだら出て来たよ。」
頭が真っ白になりました。
(やばい、言い訳も何も思いツカナイ。とりあえず謝ろう)
「申し訳ございませんでした!」
「お客様、体調など悪くなされてませんか?もし可能ならば、今からでも一緒に病院に行かせてもらえませんか?」
私は、とりあえずの謝罪と、その時とっさに思いついた解決策を提案しました。
しかし、お客さんは「謝るのはいいけど、で?どうすんの?お前店長だろ。」
一番困る質問です。
頭が混乱している時のこういった質問には、
正直困ります。
「申し訳ございません。私の管理不足のせいで、大変ご迷惑をおかけしてしまいました」
「申し訳ございません・申し訳ございません」
よくいる謝る事しか出来ない店長の風景がありました。
今考えるとかっこ悪いですね~。
まだクレームや事故慣れしていなかった事もあって、
対処方法などまったくわかりませんでした。
その時思ってたのは、(とりあえず一回裏に戻って、上司に相談したい!)
くらいだったと思います。
しかし、お客さんは聞いてきます。
「謝ってどうするんだよ。
お前が店長なんだろ!店長として、どうするか聞いてるんだよ!」
その時の私は、割引の強要だと思いました。
「本当に申し訳ございません。こちらのお代は頂けませんので・・・」みたいな事を言ったと思います。
するとお客さんは、
「ふざけんなよ。俺は金持ってるから!そんな事言ってんじゃねーんだよ」
(マジか~やばい全然わかんない。どうしよう・・・)
「もういいよ!俺が店長だったらさ~。
まず、この徳利全部回収するよね。
他のお客さんのにも入ってるかもしれないでしょ。
改善策も何よりも今出来る事やんなよ。
どうすんの?また入ってたら?
店長なんだから、店全体の事考えなよ。
こういってる間にもさ、裏で日本酒作って出してるんじゃないの?」
(確かに、おっしゃるとおりだわ。あれ?なんか、すっきりする)
「すいませんでした!ありがとうございます!ちょっと席を外させてもらいます」
私は、お客さんに言われた通りすぐ全席のテーブルをスタッフにチェックさせました。
日本酒の徳利は一種類のみ。
そんなにオーダーは入っていなかったので、
5分もかからなかったと思います。
また、ドリンカーへ行き、
徳利もすべて洗い直させ中をチェックさせました。
そして、またお客さんのもとへ・・・
「すべて確認しました。
とりあえず、現状では大丈夫です。本当に申し訳ございませんでした。」
やっと謝罪が出来たと思いました。
その後はお客さんから色々ご指摘を頂き私の上司に連絡して対応してもらい、
後日改善案を紙にまとめてご報告。
改めて、店舗に招待してお客さんにお許しをもらい、
結果その後は常連さんになってくれました。
私は、そのお客さんにはとても感謝しています。
こういった経験をさせてもらえた事は
その後の店長人生にとても影響しました。
今回のクレームを以下にまとめてみました。
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なぜゴキブリがとっくりの中に居たのか?
- 席数が多かった為、徳利の数が多かった。60本程度で向きも乱雑にかごに入れられていた。
- ドリンク作成時は、酒燗器に差し込むだけで中身の確認をしていなかった。
- パントリー内、ドリンカー付近は備品も多く機材も多かった為きちんとした清掃は継続して行われていなかった。
二度とゴキブリ系のクレームをもらわない為に。
- 徳利の保管場所を変え、かごでは無くハーフラックに仕切りを付け下向きになるように保管した。
- パントリー内の清掃頻度を上げたが、虫や異物が0になるわけでは無いので、商品提供時の確認作業に力を入れるようになった。
- パントリーにクレーム内容と改善策、事故報告を行いスタッフに共有、意識を高めさせた
チェーン店 店長として学んだ事
このクレームで、普段からの備品の管理の見直しや、
謝罪だけでは何も解決しない事を学びました。
また、どういった行動をとれば
お客さんは安心したり納得してくれるのかを考えるようになりました。
お客さんにもよりますが、
迅速に店全体へのフォローをしていたり、
二次災害を防ぐ行動を店長が行っていた方がクレーム中でも信頼感が出てきます。
また、そういった行動をして初めて謝罪も伝わると思いました。
やっぱりまずは行動です。
謝罪→改善行動→謝罪。
これを、スムーズに行えるようになると、
クレーム対応も楽になります。
また、一つのクレームから学べる事は多く
他のクレーム防止策にも繋がっていくと思います。